漫画家・杉浦茂の全仕事を紐解くコレクション
デタラメ、ナンセンス、シュール、奇想天外――
杉浦茂を評する数々の言葉だけでも、この漫画家の異端ぶりが分かる。
戦前のユーモア・教育漫画から戦後の独特なギャグ漫画まで64年の漫画家人生を通じて膨大な作品を世に送り出した杉浦茂。
没後も未収録作品の発掘が行われ全集が再編されるなど
今もなお全容把握が進められている漫画家でもある。
このWebサイトでは杉浦茂に関わる膨大なコレクションから、
初出・再録を含めたすべての作品をまとめた。
まさに杉浦茂の「全仕事」を知るための入り口である。
このホームページについて ➡
作品にも「のらくろ」登場
杉浦茂ってこんな人
昭和初期の代表的漫画家・田河水泡の
お弟子さんとしてスタート
洋画の道を志していたところ、生活上の理由もあり漫画家への転身を決意。知人が紹介状を書いてくれた縁で「のらくろ」で爆発的な人気を得ていた田河水泡へと入門する。当初は「マンガに対して特別な才能も熱情もなかった」と回顧している。
奇想天外と親しみが同居した
唯一無二のギャグ漫画
杉浦といえば、丸みを帯びた親しみあるタッチのキャラクターと、奇想天外な設定の組み合わせが生み出す独特の世界が魅力のひとつ。下書きもなくほぼ「ぶっつけ本番」で描いたという下町の陽気さに溢れたハチャメチャなギャグ漫画は、戦後の少年たちの熱烈な支持を得た。
赤塚不二夫「レレレのおじさん」の生みの親
小説家の筒井康隆や音楽家の細野晴臣など、各界にファンがいることでも知られる。赤塚不二夫の「レレレのおじさん」は、杉浦作品から着想を得て生まれたキャラクターというのは有名な話。赤塚不二夫のほか、手塚治虫やちばてつや、日野日出志なども杉浦茂の漫画に影響を受けていると語っている。
自画像(杉浦勉氏提供)
時代劇からSFまで、縦横無尽な作品群
国家統制の中で
啓蒙・教育作品を数多く執筆
『東京朝日新聞』(1932年12月18日)に掲載した一コマ漫画『どうも近ごろ物騒でいけねえ』でデビュー。戦争が激化するにつれ、単行本『ゲンキナコグマ』など啓蒙的な教育作品を執筆。
ゲンキナコグマ
コドモ南海記
時代はこども漫画隆盛期。
SFや忍術、西部劇など多彩な
ジャンルで数々の代表作を生み出す
『冒険ベンちゃん』『アップルジャム君』『弾丸トミー』など少年ヒーローが活躍する漫画を多数執筆し、『猿飛佐助』『ドロンちび丸』といった忍術漫画がヒットを記録。この時期は杉浦茂黄金期とも呼ばれる。
弾丸トミー
ドロンちび丸
シュールで奔放な作風が再評価され
新たなファンの獲得に
児童向けから青年向けへと移行した時期。『日本名作劇場』『聊斎志異』など杉浦流の解釈が光る意欲作にも取り組んでいる。サブカルの潮流の中でシュールな作風が再評価され、イラストや広告も手がけた。
日本名作劇場
聊斎志異
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